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【note】身体を使う “運動スキル” は「スモールステップの原則」と「即時フィードバック」で教える

  • 杉浦真由美
  • 2018年12月17日
  • 読了時間: 3分

医学部では,病院で実際に患者と接しながら,医師としての能力を磨いていきます。その臨床実習の開始前に,全国の医学部生を対象に課されるのが「共用試験」です。これをクリアしなければ進級できず,臨床実習に入ることもできないことになっています。その準備の一つとして,先日「静脈血採血」の技術のトレーニングを行いました。

小さなステップを踏んで段階的に教える

みなさんは健診などで “採血” を受けたことがあるのではないでしょうか。もし,いきなり採血を「やってみて」と言われたらどうでしょう。本当に「やってみて」と言われることはないですけど,実際にやってみたら,やり方もわからないので失敗してしまうことが想像つくのではないでしょうか。 採血の技術にしても何にしても,身体を動かす「運動スキル」を教えるときには,簡単な技術から段階的に指導していきます。それができたら,またほんの少しだけ難しいステップへと進みます。これを「スモールステップの原則」といいます。

行動を細分化する

スモールステップで教えるためには,一連の行動を細分化する必要があります。たとえば,採血の技術を細分化するとこのような感じになります。

 ・採血する血管,神経の走行について理解する  ・使用する物品の名前と使い方を覚える  ・物品をトレイに準備する  ・患者さんへ採血の説明をする  ・採血しやすいように物品を配置する  ・駆血帯を巻く  ・採血する血管を選択する  ・消毒をする    ・・・・・・・・・

ここまできたらいよいよ「針を刺す」という行動になります。いざ針を刺して「物品が足りない」なんてことがあってはいけませんので,準備の大切さなんかも伝える必要があります。 こうしてみると,「なんだか細かすぎて面倒」と思った方もいるかもしれません。しかし,こうして細かいステップで教えることで,教える相手は失敗することが少なくゴールの目標に到達することができるのです。

できたらすぐにフィードバック

実践では,トレーニングモデルを使って練習をします。初めてでもすぐにうまく針が入る学生もいれば,なかなかうまくいかない学生もいます。 うまくいったときには「できたね」「今の針の角度いいよ」「針の固定も安定しているね」など,その場で具体的にフィードバックします。そうすることで,教える相手は「これでいいのだ」ということがわかり,良い行動(正しい技術)を効果的に身につけることができます。 一方,うまくいかないときには,教える相手をじっくり観察します。そして,苦手な部分を明確して,そこを繰り返し練習させるとよいでしょう。 たとえば,針はうまく挿入できたのに,スピッツ(血液を取る容器)を入れ替えるときにうまくできなかったとします。そうであれば「スピッツを入れ替える」ということを集中的に練習させるということです。利き手はどっちなのかによっても持つ手は違いますし,物品を置く位置によってもうまくいったりうまくいかなかったりするでしょう。苦手な部分がうまくできるようになってから一連の流れで練習をするようにすると,効率的で効果的にスキルを修得させることができます。

こうした技術練習は,成功体験を与えてから終えるようにすると,教える相手の自信にもつながります。


 
 
 

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